· 

事業再構築補助金の続報2021−2−15

「事業再構築補助金の概要」が公表されました

関東経済産業局から公表された概要資料です。資料の構成は次の通りです。

1.事業目的、申請要件

2.予算額、補助額、補助率

3.中小企業の範囲、中堅企業の範囲

4.補助対象経費

5.事業計画の策定

6.補助金支払いまでのプロセス、フォローアップ

7.事前着手承認制度

8.準備可能な事項

9.注意事項

10.事業再構築の事例


既に公表されている概要資料からアップデートされた部分を中心にご説明します。

1.事業目的、申請要件

’ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします’

補助金の事業目的が明確になりました。

 

’コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を 対象とします。申請後、審査委員が審査の上、予算の範囲内で採択します’

個人事業主ももちろん対象となります。企業組合は一般的に業界団体などをいいます。概要資料の3.中小企業の範囲、中堅企業の範囲にさらに説明があります。

’【注3】企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う等の要 件を満たすNPO法人も支援の対象です’

NPO法人も対象となるのでかなり間口は広がりそうですね。

■事業再構築補助金の申請要件

3つの申請要件が明示されました。

 

1.売上減少

’申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1 ~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している’

コロナ以前の時期がいつの時期を示すのかはっきりしました。

 

2.事業再構築に取り組む

’事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う’

3月に公開予定の公募要領で「事業再構築指針」の詳細が明らかになるようです。

事業再構築に含めれる取り組みには、新分野展開、業態転換、事業転換、業種転換、事業再編など様々な内容を含みます。

事業再構築補助金ページに詳細を掲載してますのでご覧ください。

 

3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

’事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する’

ここは前回と同様です。当社も経営革新等支援機関に認定されていますので安心してお任せください。

 

新情報です。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定することとあります。

大型案件の進め方は事業者様のお付き合いのある金融機関と一緒に事業計画策定を進めることになるでしょう。当社の様な士業のコンサル事務所は融資のための事業計画策定などで金融機関とのお付き合いもありますのでご相談いただければ対応可能です。

 

’補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する’

ここも前回同様です。

2.予算額、補助額、補助率

通常枠の補助上限額、補助率などは前回と同様です。

■特別枠と加点措置

速報で特別枠の創設について前回ブログにアップした内容について通常枠の加点項目としても扱われることがわかりました。

つまりコロナ禍の中で、より深刻な影響を受けている事業者について通常枠で加点措置を行うとともに、通常枠とは別に「特別枠」優先的に審査するというものです。

 

ここでいう「深刻な影響を受けている」という要件ですが、「令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者」ということになります。地域、業種は問わないとのことです。

(注)として小さく書いてある内容が結構重要です。

特別枠の申請要件を満たしていれば、特別枠で不採択になっても通常枠で再審査するので採択率が高くなる、とのことです!

5.事業計画の策定

従来の補助金は目的がある程度絞られていたのに対して事業再構築補助金は事業計画(=経営そのもの)をかなりしっかり作り込むことが必要になると思われます。

従来は、ものづくり補助金=>設備投資、持続化補助金=>販路開拓、IT導入補助金=>ITツール導入など。

 

’補助金の審査は、事業計画を基に行われます。採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です’

 

当社は事業戦略策定など経営コンサルティングを主たるサービスラインとしている中小企業診断士事務所です。日頃から事業者様の立ち位置を客観的に分析し課題を抽出、解決策を導き出すことに知恵を絞っていますので、事業計画策定のお力になれると考えております。詳しくは当社のコンサルティングの進め方をご覧ください。

 

’事業計画は、認定経営革新等支援機関と相談しつつ策定してください。認定経営革新等支援機関には、事業実施段階でのアドバイスやフォローアップも期待されています’

 

当社は認定経営革新等支援機関です。またミラサポ 事業などでは金融機関様と協力して経営課題の解決にコンサルティングサービスを行っています。

 

【事業計画に含めるべきポイント】

1)現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性

2)事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)

3)事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法

4)実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)

 

1)はコンサルティングでよく使う分析手法であるSWOT分析ですね。

事業者様の強み(Strength)・弱み(Weakness)、機会(Opportunity)・脅威(Threat)を軸に分析します。

ビジネスフレームワークの説明も合わせてご覧ください。

7.事前着手承認制度

どのような補助金であっても同一のルールがあり、補助金を充当する経費を支出できるタイミングは、原則として採択後であること、また実際の補助金の入金があるのは事業実施後に行う実績報告書の提出後(通常1年後くらい)であることです。

またフォローアップ期間を5年として取り組むんでいる事業の状況を報告する必要があるとのことです。

事業再構築補助金は金額が大きいため事業者の資金繰りなどへの配慮もあり、事前着手承認制度というものができるようです。

 

’補助事業の着手(購入契約の締結等)は、原則として交付決定後です’

 

’公募開始後、事前着手申請を提出し、承認された場合は、2月15日以降の設備の購入契約等が補助対象となり得ます。ただし、設備の購入等では入札・相見積が必要です。また、補助金申請後不採択となるリスクがありますのでご注意ください’

 

事業再構築の取り組みなどで、新たに店舗を開設するための工事を契約する、新規に工場を建設するなどを検討されている場合は、業者との契約は2/15以降である必要がありますね。

事業再構築補助金の全体的な説明は事業再構築補助金ページをご覧ください。